(1) 大津市建築審査会の進行への疑問
大津市建築審査会での議論が刻銘に記された議事録を入手
今回、建築審査会の議事録に対する解説を行う前に、少しだけ議事録入手に関する背景を説明します。
2012年6月1日に請求人である住民らは裁決文を受け取りましたが、請求棄却の判断理由について充分な記載が無く、
どのような議論がなされた末の裁決であったのか、議論経過を読み取ることが難しいものでした。
そこで、仰木の里学区自治連合会は、この疑問を解消すべく、建築審査会の議事録の情報公開を大津市に対して
請求しました。下記に、議事録を入手するまでの経過を示します。
2012年6月1日に請求人である住民らは裁決文を受け取りましたが、請求棄却の判断理由について充分な記載が無く、
どのような議論がなされた末の裁決であったのか、議論経過を読み取ることが難しいものでした。
そこで、仰木の里学区自治連合会は、この疑問を解消すべく、建築審査会の議事録の情報公開を大津市に対して
請求しました。下記に、議事録を入手するまでの経過を示します。
日付 | 出来事 |
---|---|
2012/6/1 | 学園の校舎・寄宿舎に対する建築確認取り消し審査請求が『開発非該当判断を伴う棄却』で結審 |
2012/6/26 | 仰木の里学区自治連合会長名で建築確認取り消し審査請求で『開発非該当判断を伴う棄却』の 判断根拠とされた文書一式の情報公開請求を行い、受理。 |
2012/7/4 | 仰木の里学区自治連合会長名で行った情報公開請求文書を住民が入手 |
建築審査会は主に委員と大津市開発部局職員の質疑形式で進行。発言割合は最高で67%も。
次回以降の論点公開では、議事録の一部転載を行いますが、議事録を読み進めるにつれ、
大津市職員が建築審査会に対して説明・発言している割合が多いことに驚かされます。
そして、書類提出の状況や事務的経過の説明に留まらず、法令解釈に関する見解等、会議の大部分が
大津市の開発関係部局へのヒアリングの形で進行していることが議事録から明らかになりました。
大津市の開発部局の担当、政策監、都市計画部の部長、課長の発言は、一連の建築審査会の議事録書面上で
行数を数え、定量的な割合を算出すると、開発非該当を議論した回では、4割から7割近く発言していたのです。
なお、議事録では「(経過説明)」「開発部局の説明」という具合に、議論に入る前の説明部分は省略して
表記されている個所があり、実際の発言割合は更に上がると予想されます。
もっとも、審査会の進行に関しては、大津市建築審査会の裁量に委ねる話であり、問題の無い進め方なのですが、
本件の議論に対して、大津市の関係部局が積極的に議論を引っ張ったことは議事録より揺ぎ無い事実といえるでしょう。
このような議論の進行で導かれた結果が、最終的に裁決書として住民に示された示されたという経緯は
知っておく必要があると思われます。
次回以降は、議事録に示された具体的な議論の中身について、議事録の文言を引用しながら見ていくことにします。
大津市職員が建築審査会に対して説明・発言している割合が多いことに驚かされます。
そして、書類提出の状況や事務的経過の説明に留まらず、法令解釈に関する見解等、会議の大部分が
大津市の開発関係部局へのヒアリングの形で進行していることが議事録から明らかになりました。
日付 | 会議名 | 主な論点 | 大津市関係部局の発言割合 (議事録行数で算出) |
---|---|---|---|
2012/1/30 | 建築審査会 | 事務局からの経緯説明、請求人適格について、 開発審査会への意見照会の決定、 地質データ等の図書提出の依頼実施の決定、 公開口頭審理の進行について | 0%(不参加) |
2012/2/14 | 開発審査会 | 開発該当性について(非該当と判断) | 39.1% |
2012/3/1 | 建築審査会 | 開発審査会への意見照会の状況確認、 (公開口頭審理で中断)、 開発行為が存在しないか議論、 地盤安全性に関する議論 | 40.2% |
2012/3/21 | 建築審査会 | 開発行為が存在しないか議論、 宅地耐震化の取り組みについて、 地盤安全性と配水管機能について 地盤安全性とN値について | 67.6% |
2012/4/18 | 建築審査会 | 請求人適格について、 開発非該当判断について、 地盤安全性の土木工学的見解について | 13.1% |
2012/5/30 | 建築審査会 | 裁決文の文章確定に向けた読み合わせ、 裁決の公表方法について | 5.6% |
行数を数え、定量的な割合を算出すると、開発非該当を議論した回では、4割から7割近く発言していたのです。
なお、議事録では「(経過説明)」「開発部局の説明」という具合に、議論に入る前の説明部分は省略して
表記されている個所があり、実際の発言割合は更に上がると予想されます。
もっとも、審査会の進行に関しては、大津市建築審査会の裁量に委ねる話であり、問題の無い進め方なのですが、
本件の議論に対して、大津市の関係部局が積極的に議論を引っ張ったことは議事録より揺ぎ無い事実といえるでしょう。
このような議論の進行で導かれた結果が、最終的に裁決書として住民に示された示されたという経緯は
知っておく必要があると思われます。
次回以降は、議事録に示された具体的な議論の中身について、議事録の文言を引用しながら見ていくことにします。
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(1) 大津市建築審査会の進行への疑問
(2) 建築審査会は地滑りの危険性の判断には踏み込まず。議事録より明らかに。
(3)「開発非該当」の判断は、大津市の開発部局の職員との質疑から導出 (〜開発審査会編〜)
(4)「開発非該当」の判断は、大津市の開発部局の職員との質疑から導出 (〜建築審査会編〜)
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