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全国建築審査会協議会で提言された建築審査会に期待される役割


2012年3月1日、幸福の科学学園・関西校の校舎棟・寄宿舎棟の建設確認に対する
取り消し請求について、大津市建築審査会による公開口頭審理が開催されました。

詳細な議論内容は、下記コンテンツよりご確認ください。

請求人論述では、審議に当たっての建築審査会への要望が述べられました。
これは、審査請求を行った住民の気持ちを代弁したものでした。

住民が願う「建築審査会に期待すること」

公開口頭審理の住民論述のパートでは、興味深い示唆がありました。

『建築確認が正当であるかどうか』という点について、建築関係の専門家として科学的な見識を持って
判断することが改めて要望されたのです。

また、仮に専門的に見て建築確認が正当であったとしても、住民に提起された様々な事象に対してきちんと議論し、
必要な提言を行うことが要望されました。

このような要望の背景には、過去、学校建設計画の中で、住民が提起した地盤安全性の疑義に対し、
大津市・滋賀県・UR・施工主のいずれも正面から答えす、「書類上の形式的審査が終わっている」として
踏み込んだ議論を避けてきた姿勢に対する不信感がありました。


[参考記事]

議会答弁に見る滋賀県の見解、地盤安全性懸念に対して深まる疑問 (2011/10/15掲載)

幸福の科学学園関西学校の地盤に関する大津市の認識 (2011/9/28掲載)

「URが開発造成した土地だから大丈夫!」 大津市が住民に説明する根拠とは? (2011/9/10掲載)

滋賀県総務課が住民提出の土地脆弱性の問題提起資料を隠蔽!! (2011/9/21掲載)


「建築審査会の機能強化に向けた提言」に見る、審査会が果たすべき役割

では、そのような住民からの提起に対し、大津市建築審査会は要望に答える義務はあるのでしょうか?

その答えには、大津市建築審査会の上位団体に当たる全国建築審査会協議会でまとめられた、
平成21年10月の「建築審査会の機能強化に向けた提言」が引用されました。

[参考] 全国建築審査会協議会

この提言書には、市民意識への配慮と題して、下記の記載があります。


 C 市民意識の配慮
 
  しかし、一方で、建築審査会の審議案件は、市民生活に関わるものであり、
  そのため、建築審査会委員は、常に市民の視点を持ち審査することも忘れてはならない。


つまり、公開口頭審理で提起された直隣地域に住む住民が抱える具体的な危惧・不安に対して、
市民意識に配慮し、きちんとした議論を行うことが全国建築審査会協議会としても提起されているのです。

さらに、「建築審査会の機能強化に向けた提言」では、「指定確認検査機関への指導」についても提起されています。


 B特定行政庁の指定確認検査機関への指導の強化

  建築審査会の裁決や裁判により、指定確認検査機関の行った処分が取り消された場合等で、
  建築審査会が指定確認検査機関の業務に是正すべき点があると判断したときには、
  特定行政庁は、建築審査会の意向を指定確認検査機関の業務評価に反映させるように努めるべきである。


ここでは、建築確認の取り消し請求に対する議論の内容次第では、
是正措置を含めた指導まで責任を負うとされているのです。

つまり、本事案に対しては、地盤安全性の疑義に対する指導まで、責任範囲に含まれるものと考えられるのです。

〜東日本大震災・原発事故の教訓〜 と題した専門家のあり方への提起

住民論述の最後は、「専門家のあり方」に対する提起として、動画による訴えが行われました。

それは、東京大学 児玉龍彦教授が、2011年8月6日放映のテレビ番組「ニュースにだまされるな
「放射能汚染 なぜ拡大したのか」から抜粋されたものでした。

[引用動画] ニュースにだまされるな8/6(土)「放射能汚染 なぜ拡大したのか」5/7(YouTube)

           ※実際の住民論述では、上記動画の6分00秒から7分15秒の部分が上映されました。

その中で、児玉達彦教授は、以下のように述べています。


 「専門家は危険は危険だと言う」「だから今までの原子力学界や原子力政策の全ての失敗は、
 専門家が専門家の矜持を捨てたから。国民に本当のことを言う前に、政治家になっちゃった、経済人になっちゃった。


東日本大震災はわが国に未曾有の被害をもたらしました。
そして、その中で、専門家の責任がこれほど問われた出来事も過去にありませんでした。

自然災害の推定、防災の備えに対する姿勢、原子力発電所の設置の許認可や現在の被害回避のあり方など、
多くの専門家が関わっておりながら、適切な判断ができずに被害を拡大させてたのです。

今回は、「地滑り危険性」という原子力の論点とは異なりますが、建築審査会という専門家に判断を委ねる
ということに変わりはありません。

ましてや、今回の審査請求では、具体的な危険兆候が写真・動画・過去の資料から提起される中、
目前の問題を見過ごし、「議論しない」という選択肢を選ぶことは専門家としてあってはならないと訴えたのです。


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