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建物完成間近でも建築確認取消しはあり得る ! 「たぬきの森マンション」事例に見る判例。


現在、滋賀県大津市仰木の里で始まっている幸福の科学学園・関西校の校舎棟・寄宿舎棟の
建設工事は、平日・休日を問わず、早朝から日没後まで猛スピードで進んでいます。

2012年4月中旬には、敷地の外からも建物の支柱などが見渡せる状態となってきました。

そのような中、滋賀県大津市の建築審査会では、建設用地の周辺住民から提出された、
建築確認取消し申請に対する審理が行われています。

今回は、このような状況を踏まえ、裁決確定までの工事進捗と建築審査会の裁決結果が
どのように関係するのかという点について、過去の判例を参考に考察してみたいと思います。

「たぬきの森マンション」の判例では、建物完成間近であっても建築確認は取消し。


建築確認が取消された事例は、全国に多数ありますが、今回は、その一つである東京都新宿区の
「たぬきの森マンション」の事例を取り上げます。

この事例では、建物完成間近であっても裁判により建築確認が取消されたとあって、大きく報道されました。

[関連コンテンツ]

建築確認取り消し訴訟「たぬきの森」マンションは違法 (Youtube)

新宿区会見 「たぬきの森」の行方は?  (Youtube)

この事例では、

 ・ 東京都条例で、災害時の避難路確保のため幅8m以上の通路が必要なところを
   4m程の道しか確保していなかったこと。

 ・ 周囲が住宅と崖という安全面が懸念された地理的条件に対して、新宿区建築課が特例で建設許可していたこと。

に対して、建築確認の取消しを求めたもので、結果としては「建築確認取消し」という決着を見ることになりました。
この結果、工事は停止し、建物を放置することによる危険性を排除するための検討がなされている状況です。

特筆すべきは、工事の進捗に関係なく、建築確認の是非が見直されたことです。

評価できるのは、「法律違反は、違反として認め、それを許さないと筋を通したこと」


「たぬきの森マンション」に対する建築確認取消しについては、様々な角度から分析・評価する声が上がっています。

その一つとして、ここでは、住宅生産性研究会(HICPM)というNPO団体が発行している
メールマガジンの評論を下記に引用してみたいと思います。

[関連HP] 住宅生産性研究会(HICPM)メールマガジン第331号 (外部サイト)

このメールマガジンでは、「たぬきの森マンション」の建築確認取消しに対して、下記2点を評価できるとしています。

 @ 法律違反は、違反として認め、それを許さないと筋を通したこと

 A 住民の視点で判決が書かれたこと

特に@については、

 「行政法違反はやってはいけない」と言う「法治国の秩序を護る最低限のことを履行できた」
 今回の判決の意味は大きく、
・・・(略)

という法遵守の重要性が改めて説かれ、印象深い結びがなされています。

学園建設と状況が類似する「たぬきの森マンション」の事例。結果はいかに?

仰木の里で工事が行われている学園校舎棟・寄宿舎棟に対する建築確認取消し請求については、

  ・現在、建築審査会での審議の一方で工事が進んでいること

  ・地理的条件に起因した地すべり発生懸念

など、先の「たぬきの森マンション」の事例との共通点があります。


さらには、先の公開口頭審理においては、明らかに法基準を超える工事実態も指摘されています。
このような違法性は判例として司法の場で指摘されてきたことが「たぬきの森マンション」の事例でも実証済みです。

今回の建築確認は民間機関により行われたため、大津市・建築審査会は今回の請求によって
初めて本件の審査に関わることになりました。

現在、慎重に進められている審理の結果はどのようになっていくのでしょうか? 注目が集まります。


[大津市に提出された建築確認取消し申請の関連記事]

@  寄宿舎用地は過去に地滑りを起こしていた! 住民論述で次々に明るみになった驚愕の事実!!

A  地滑り発生を助長する建設予定地の排水不良の課題

B  建築確認の申請内容に関する違法性を指摘。図面と工事実態が不一致

C  処分庁は論述せず30秒で持ち時間を終了。 弁明書では「請求資格なし」と切り捨て!!

D  全国建築審査会で提言された建築審査会に期待される役割。

E  法解釈でも建築審査会での議論は妥当。 過去の判例に見る建築確認のあり方。