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幸福の科学大学の『設置申請不認可』の文部科学省決定を受けて

2015年春に千葉県で開学予定とされていた「幸福の科学大学」について、2014年10月29日、文部科学省の諮問機関である「大学設置・学校法人審議会」が開設を不可とする答申を行い、同年10月31日に文部科学大臣による「不認可」が決定しました。 文部科学省がホームページで公表された同大学の設置を不可とした審議会の理由書、及び下村博文・文科大臣の記者会見によれば、下記の2点が述べられました。

@教育内容の根底となる部分に学問性が認められず、学校教育法が定める大学の目的等の
 要件を満たしていない。

A大学設置認可の強要を意図すると思われるような不適切な行為があり遺憾であること。

今回の不認可は新聞・テレビ・WEBで広域に報じられました。既に全国各地で『開学決定』の横断幕の目撃情報があったことも重なり、仰木の里でも驚きの声が広がっています。 更にNHK等の報道によれば、文科省は最長で5年間は幸福の科学学園からの設置申請を認可をしないとも報じられており、二重の驚きとなっています。

[大学設置審議会の答申文書]
幸福の科学大学を「不可」とする理由 (文部科学省HP)

[下村博文・文科大臣の定例記者会見での説明]
下村博文文部科学大臣記者会見録(平成26年10月31日) (文部科学省HP 2014.10.31掲載)
下村文部科学大臣会見(平成26年10月31日):文部科学省 (Youtube 3分23秒-4分55秒)

[関連ニュース]
幸福の科学大学「不認可」へ=最長5年間は認可不能か (やや日刊カルト新聞)
幸福の科学大学「不認可」関連の新聞記事 (NHK、産経新聞、千葉日報)

"「霊言」を大学教育の根底に据える"ことは学校教育法の大学の目的を達成できない

大学設置不認可の理由として、大学設置・学校法人審議会(以下、大学設置審議会)は文科大臣への答申文書の中で学校教育法と大学設置基準の条文に照らして下記のように諮問しました。

[以下、文科省HP 幸福の科学大学を「不可」とする理由 の文末より引用]
 このような科学的合理性が立証できていない「霊言(霊言集)」を本大学における教育の根底に
 据えるということは、学校教育法第83条第1項の「学術の中心」としての大学の目的を達成で
 きるものとは認められない。

 また、大学設置基準第19条第1項の「体系的に教育課程を編成する」及び同条第2項の「専門の
 学芸を教授し、幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵養するよう適切に
 配慮」の各要件を満たしているものとは認められない。

以前、当ホームページの引用記事 「週刊新潮7月24日文月増大号に掲載の幸福の科学大学に関する記事について」でも紹介しましたが、 幸福の科学学園は文科省関係者から「大学で幸福の科学の教義を教えることに疑義がある」という旨の指導を受けていた事が伝えられていました。

この指導に対し、宗教法人幹部は〈私たちは、この修正は到底受け入れられないものとして、信仰をかけて闘う予定です。> と受け入れの意思が無い旨の発言をしていたことが週刊新潮に掲載されていましたが、今回の不認可の理由を見ると、その姿勢は最後まで貫かれたと言えそうです。

「大学設置認可制度の根幹を揺るがすおそれ」と判断された大学設置の強要行為

今回の報道で非常に驚いたのは、大学設置認可の強要を意図すると思われるような不適切な行為があったことを理由に最長5年間は認可をしないとする前代未聞のペナルティが付されたことです。
その理由については、下記のように説明がなされました。

[以下、文科省HP 幸福の科学大学を「不可」とする理由より引用]
 幸福の科学大学(仮称)の審査過程における申請者の不適切な行為について(報告)

 (略)
 「幸福の科学大学(仮称)」については、審査途中において、創立者の大川隆法氏を
 著者とする大学新設に関連する書籍が数多く出版され、申請者も属する幸福の科学グル
 ープから本審議会の委員に送付されたり、今回の大学設置認可に関係すると思われる人物
 の守護霊本が複数出版されたりするなど、通常の審査プロセスを無視して、認可の強要を
 意図すると思われるような不適切な行為が行われたことは、極めて遺憾である。

 本審議会としては、学校法人幸福の科学学園による上記の行為は、大学設置認可制度の
 根幹を揺るがすおそれのある問題
であると考えており、大学設置認可に係る公正な審査を
 期すためにも、文部科学大臣に上記事項を報告するものである。

下村文部科学大臣会見(平成26年10月31日):文部科学省(Youtube 3分23秒-4分55秒)
[掲載時URL] http://www.youtube.com/watch?v=YUd4xGSccWk&nofeather=True
 今回の幸福の科学大学の設置認可申請については、大学設置学校法人審議会において専門
 的な観点から審査が行われた結果、教育内容の根底となる部分に学問性が認められず、学校
 教育法が定める大学の目的等の要件を満たしていないとの判断がなされたものと受け止めて
 おります。

 また審議会委員に対して認可の強要を意図するような不適切な行為が行われたことの報告が
 あり、さらに文部科学省に対しても霊言本の中で脅しと思われるような表現があったり事務
 相談において職員に対して脅しのような発言がなされたりするなど、認可の可否の判断にあ
 たって心的圧力をかけるような不正の行為が行われたところであります。

 これらの行為は設置認可制度の根幹に関わる問題であり、まことに遺憾であります。
 文部科学省としては審議会の答申および不正の行為が行われていたことを踏まえ、
 本日31日付けで不認可を通知する予定であります。

大学設置審議会の答申文書では、学校法人という組織全体に対して認可を強要した団体と認定した上で「大学設置認可制度の根幹を揺るがすおそれのある問題」と指摘しています。

非常に残念であったのは、既に中高校一貫の既存校を抱える学校法人がこのような行為を及んだと判断されたこと、 更には直接の事務相談の場で文科省職員が脅しと感じるようなやり取りがなされたという生々しい事実が公になり、今回の罰則措置を判断した根拠とされたことです。

2013年春というわずか2年前に開校した中高校一貫の関西校を巡っては、学校建設に伴い法的に必要とされた中高層説明会で宗教法人幹部が住民席から住民を 装って意見を述べるというヤラセ行為が発覚したり、住民からの学園用地の地盤安全性の疑義の投げ掛け・大津市長から都市計画法上の開発行為該当の可能性を指摘されておきながら工事を完成まで強行し続けるなど、学校用地周辺の住民との関係を深刻に悪化させる行為が様々行われましたが、 今回の大学設置審査に対しても幸福の科学学園関係者が同様の対応を取っていたことは大変残念でなりません。

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文科省の不認可決定は勇気ある判断。しかし、仰木の里は不安増大の結果に。

今回、文科省が決定した幸福の科学大学の設置申請の不認可は、学校法人が行った行為に対して毅然とした態度を取ったこと、 特に校舎建設が千葉県長生村で大詰めを迎える中であったとしても是々非々の判断により罰則措置まで含めた判断を下した点は、日本の公教育を管理・監督する機関として大いに評価されるものであったと思います。

一方で、関西校と隣接する仰木の里の住民にとっては、改めて学校法人 幸福の科学学園に対する学校教育事業者としての不信感が大きくならざるを得ない出来事でした。

文科省での事務相談ですら文科省職員が学園関係者からの脅しを受けていたいう事実を知った住民からは、 本当に「話し合いが成り立つのか相手なのか」「地域連携が本当に改善できるのか」という疑いの声が上がっています。

また、既存校である関西校が本当に適切に運営されているのかという疑問も持たざるを得ません。

このように今回の大学設置不認可の決定は、単に大学の話に留まらず、改めて仰木の里に大きな問題を投げかけた出来事となりました。