問題点E: 「一次認可」で懸念した四者協議会の経過は、伝える気すらなかった!?
4者協議会の内容・結果について、当初、事務局は私学審議会には報告せず。
2011年8月29日の私学審議会で「一次認可」に関する結論が委員の間でまとまらなかった理由は、滋賀県・学園・UR・地元住民の4者による協議会(以降、4者協議会)を同2011年9月10日に控え、
私学審議会として地域連携が進まない事に対する大きな懸念が存在したとともに、私学審議会が
考えた付言の位置付けについて、一次認可の条件とするかどうかの検討が不十分であったためでした。
「一次認可」に関しては、『問題点@ 事務局が私学審議会の決定無く「一次認可」を学園に伝達』
でも述べたように、委員から後に「総務課のフライング行為」と言われるほど、4者協議会の前に
学園に一次認可を伝えることを事務局が重視した形跡が見られました。
では、この4者協議会の内容・結果について、どのように私学審議会に報告されたのでしょうか?
委員からは、驚くべきことに下記のような発言がなされていました。
[2011年10月31日の私学審議会議事録20ージ(pdf 8ページ)より引用]
委 員: それと学園側と地域住民の方々の対話不足というんですか、今日のこういうような
県と幸福の科学と地元の方が、協議をするという場があるんだということを伺って
おりましたので、当然、それが話し合いがされていい方向に行っているものと
思ってたんですね。
(中略)
仰木の里の役員の方が文書を持ってみえて、あら、まだ解決してなかったんだ、
ということを初めて知ったんです。
今日また、県の正面玄関で文書を頂きましたけれども、そういう状態だったんです。
県と幸福の科学と地元の方が、協議をするという場があるんだということを伺って
おりましたので、当然、それが話し合いがされていい方向に行っているものと
思ってたんですね。
(中略)
仰木の里の役員の方が文書を持ってみえて、あら、まだ解決してなかったんだ、
ということを初めて知ったんです。
今日また、県の正面玄関で文書を頂きましたけれども、そういう状態だったんです。
つまり、1ヶ月もの期間がありながら、4者協議会の内容・結果の報告は私学審議会には行われて
いなかったのです。これは2011年8月に1ヶ月に3回という過去前例の無いペースで私学審議会を
開催し、事務局が勝手に一次認可を学園に伝えることまで行っていたことを考慮すると、非常に
対照的であると言わざると得ません。
4者協議では地域連携への懸念を説明せず。委員にはUR答弁のみ積極的に報告
私学審議会の議事録によれば、4者協議会の内容が報告されたのは、「総務課のフライング行為」と委員から非難された後の反論としてが最初でした。つまり、問われて初めて説明したのです。
また、その説明で詳細に語られたのは、URによる地盤に関する見解説明のみ
(2012年3月1日の私学審議会議事録30〜32ページ(pdf 10〜12ページ))で、
8月29日の私学審議会で懸念した地域連携への不安に関しては何も説明されませんでした。
そもそも、4者協議会に向けた懸念は地域連携の話であり、事務局も認識していたはずです。
そうであれば、地域連携に関してどのような議論が4者協議会なされたのかを報告することは、
当然の成り行きと考えるのが自然でしょう。
しかし、事務局はそれを理解していながら、結果として私学審議会の委員に対してURの話だけを
伝えたのは、最初から「4者協議会という集まりを持つ」という実績づくりそのものが目的で、
中身は問題視するつもりがなかったという現れと言えるでしょう。
それでいて、滋賀県としては、「住民を諭した」という趣旨の説明を委員に行い、
4者協議会での事務局としての振る舞いを正当化していました。
[2011年10月31日の私学審議会議事録24ページ(pdf 11ページ)より引用]
事務局: それと学園側と地域住民の方々の対話不足というんですか、今日のこういうような
結果を招いているということなんですけれども、一方的な相手の主張や説明に
止まらずに、相互の対話が必要ではないのか。相手の言うことを聞いて、反論があれば
お答えする。これをお互いにやらないと、前に進まない。ということですね。
それは住民さんにもお願いしましたし、当然、幸福にも伝えています。
結果を招いているということなんですけれども、一方的な相手の主張や説明に
止まらずに、相互の対話が必要ではないのか。相手の言うことを聞いて、反論があれば
お答えする。これをお互いにやらないと、前に進まない。ということですね。
それは住民さんにもお願いしましたし、当然、幸福にも伝えています。
では、2011年9月10日の4者協議会では、実際にどのような議論がなされたのでしょうか?
実は、この4者協議会については、実はまち連のホームページに掲載されたまとめの
情報以外には、情報がありません。滋賀県が参加していながら、議事録は作成されず、
滋賀県情報公開請求に対しても「文書不存在」とされ、公開に至っていません。
一方で、4者協議会に関する唯一の情報源である仰木の里まちづくり連合協議会の
ホームページでは、4者の協議会の内容については、最後に司会が以下のような
まとめをして終了したと記されています。
[4者の協議会の内容について] ※仰木の里まちづくり連合協議会HPより転載
項目 | 内容 |
---|---|
不安解消には程遠く、継続協議とすること。幸福の科学学園が 計画している学園主催の「対話会」ではなく、4者の協議形態を続けること。 | |
幸福の科学学園の副理事長の発言内容について、撤回する発言内容、 その公表方法を検討し、文書で住民に提出すること。 | |
URは、地盤の安定性に関するデータを協議する場を設けることを検討すること。 | |
大津市は、このように不安解消には程遠く、かみあっていない状況に対して、 現実的な対処方法を検討すること。 | |
滋賀県は、地域連携の有無、地盤の安全性について、私学審議会の厳格な 審査基準を明確にすること。 |
まとめとして語られていながら、私学審議会に伝えられていなかったのです。
さらには、学園に対して謝罪を求める文書を要求した事や対話会への見解も記されています。
しかしながら、これらまとめに挙げられた項目は、何一つ履行されませんでした。
そもそも、この四者協議会の開催に当たっては、参加者が限定された中での会ということで、
疑問が呈される中での開催でしたが、更に、このような"まとめ"がなされた協議会の
開催実績だけを盾に取り、一時認可を進めたことは四者協議会を認めた住民を裏切る行為
だったと言わざるを得ません。
それゆえ、委員からは後の私学審議会で下記のような発言がなされます。
[2012年1月12日の私学審議会議事録23ページ(pdf23ページ)より引用]
委 員: 要するにこういう、なぜ説明会にでられないんですか、ということを地元の方に。
地元の方の言い分どうこうを審査するとかやないと思うんですよ。なぜ、説明会に
出られないのかという、この1点については、地元の方に対して確認する必要が
あるのかなぁ、という思いを持っているんですよ。この論調でいけば、話し合いに
応じてもらえないという、入り口でなんかシャットアウトされているみたいな書き方
されているんで、なぜ説明会に出られないんですか、とその一点だけでも私は聞きたい
なと思っているんです。
説明会があるのに出えへんのは、それはもうあなた方の勝手でしょ、
と最終なりますからね。理由さえはっきりすれば。
地元の方の言い分どうこうを審査するとかやないと思うんですよ。なぜ、説明会に
出られないのかという、この1点については、地元の方に対して確認する必要が
あるのかなぁ、という思いを持っているんですよ。この論調でいけば、話し合いに
応じてもらえないという、入り口でなんかシャットアウトされているみたいな書き方
されているんで、なぜ説明会に出られないんですか、とその一点だけでも私は聞きたい
なと思っているんです。
説明会があるのに出えへんのは、それはもうあなた方の勝手でしょ、
と最終なりますからね。理由さえはっきりすれば。
滋賀県として事務局である総務部総務課の職員が同席していながら、4者会議の内容が正しく
私学審議会に伝えられていなかったという事実は、大きな瑕疵があったと言えます。
補足: 9時間に及ぶ話し合いの本当の内容は秘密開催の審議会(協議会)について
議事録には、事務局である総務課職員はが地元住民の不安解消に向けた施策を講じているという下記のような説明がありました。
[2011年10月31日の私学審議会議事録21ページ(pdf 8ページ)より引用]
事務局: 10月25日は、9時間におよぶような話し合いの場がありまして、事務局から説明できる
ことによって、少しでも不安なりを解消できるような場を持たしてもらっているんです。
ことによって、少しでも不安なりを解消できるような場を持たしてもらっているんです。
しかしながら、この9時間に及んだ話し合いは、実際には、滋賀県HPに「私学審議会でない」
という理由で集まった事実さえないとされていた秘密開催の審議会(協議会)の存在が発覚し、
秘密裏に設置認可を進めようとした疑いが持たれたためでした。
さらには、「正式な私学審議会で無いと滋賀県が主張するのであれば、非公開の会議に
該当せず、滋賀県が定める審議中の事案でないわけであるから、議事録は公開できる」と主張した
地元住民との押し問答が続いたものでした。
しかしながら、そのような地元住民からの追及を受けた結果の9時間に及ぶ話し合いすら、
私学審議会の委員に対して、良い印象を委員に植え付ける材料としていたことが議事録から
判明しました。
『問題点B : 核心を避けて私学審議会に説明された地元の反対理由』でも解説しましたが、
私学審議会に対して偏った情報提供が恒常的に行われたことは、公正な審議の前提を著しく
欠く運営であり、それが約1年半に渡って行われたとなると問題があったと言わざるを得ません。