1. HOME > 学校設置反対の動きと経過 > 問題点@:事務局が私学審議会の決定無く「一次認可」を学園に伝達

問題点@:事務局が私学審議会の決定無く「一次認可」を学園に伝達

委員も激怒。学校設置申請に対する「一次認可」を巡って私学審議会は大荒れ。

滋賀県知事の第三者諮問機関であるはずの"滋賀県・私学審議会"の進行は、議事録で
確認した結果、"私学審議会の委員"と"事務局を称する滋賀県総務部総務課の職員"
(以降、事務局)との議論で進行していたことが判明しました。

私学審議会運営における事務局の役割は、会議の設定、情報提供のはずですが、実際には、
学園の主張を交えた説得とも取れる発言が散見されるほか、私学審議会への過剰な介入運営
を象徴する出来事も議事録に刻銘に示されていました。

その代表例が学校設置申請に対する「一次認可」の決定の場面でした。

[一次認可を巡る出来事の経過]
日付出来事
2011/8/4
別件の審議会のあと、総務課が現地見学を提案するも、現地視察は見送り。
2011/8/22
私学審議会(協議会)が開催。
しかし、滋賀県HP掲載を含め、当初、開催は無かったと住民に説明され続けた。
2011/8/29
学校設置申請に対する「一次認可」を協議。
委員の「正式に今日の日付では何も出ることはないのであろう。」という問いかけに
事務局が「今日は諮問したということ。」と答える。
2011/8/30
学園が来庁。総務課が
「審査基準におおむね適合しており継続審議とする」と一次認可を伝える。
2011/9/6

2011/9/7
総務課職員が私学審議会の各委員を個別訪問。
2011/9/9
総務課が学園に「意見」を口頭で伝える。
2011/9/10
学園・UR・滋賀県・地元住民の4者の協議会が開催。
2011/10/31
別件の審議会の際に「一次認可」を巡り紛糾。
「総務課のフライング行為」の発言も。

「一次認可」を巡る議論は8月29日はまとまらず。


滋賀県・私学審議会が最初の大きな節目迎えたのは、2011年8月29日の私学審議会でした。
この日は、学校設置計画に関する、いわゆる「一次認可」をするか否かが議題とされました。

議論では、滋賀県の定める学校設置基準の条項に対して直接抵触しないが、学園と地元住民
の間で地域連携が図られない中で建築に向かう可能性が懸念され、

・「一次認可」に対して付言という"条件"を付けるかどうか。

・付言の位置付けは、「事前にクリアしないと一次認可を認めない」とするか、
 「これから条件をクリアすることを求める」とするのか。

という論点で見解が分かれました。

そして、私学審議会の直後に予定されていた9/10の行政を含む協議会への影響を懸念し、
私学審議会での決定を8/29に行うべきかという議論まで行われていました。

この8/29の議事録によれば、最終的には下記のように閉会し、私学審議会の運営規則で
定めた挙手による裁決が行われないばかりか、同日付の決定はない
とする下記のような
発言が行われていました。

[2011年8月29日の私学審議会議事録17ページより引用]
 議 長: 今までのやり方として、施設整備の確認までは継続審議。ただ、審議会でいろんな
      意見が出たので、これについては、知事や法人に伝えて欲しい。3点について文書
      を整理し、皆様にもう一度お諮りする。それを法人に伝える時期は、もうちょっと
      様子を見る。9月10日の前にするのか、後にするのか。

 委 員: 正式に今日の日付では何も出ることはないのであろう。

 事務局: 今日は諮問したということ。

 委 員: 文書で諮り、委員が合意したと委員長が判断されてはどうか。

 議 長: それもあわせてお聞きすることとする。このような状況なので、各委員に聞くことにする。

この発言は、8月29日の私学審議会の結論を出すべく、議長が下記のまとめを始めたものの、
委員から判断の分かれる見解が出て、まとまらなかった末の発言でした。

[2011年8月29日の私学審議会議事録11〜12ページ(pdf11〜12ページ)より引用]
 議 長: まとめると、基本的には基準を満たしていることから、認可をされることは
      適当である。ただし、施設設備は今後進められるので、それを十分に確認する
      までは、審議会として最終結論は出来ない。案件としては継続審議とする。

      その結論に至る過程として
      @10年前の開発行為は不安なので、それを踏まえて十分に安全が確保できる
       施設整備であるかどうかを確認する。
      A地域の理解が得られるよう、十分な説明を継続する。
      B健全な学校運営がされるよう、十分な指導監督を行う。

      というようなことになるのか。

      (中略)

 委 員: 結論は○とするのか、どうするのか。○でいいのか。

 委 員: 基準からは○しかないが、不安が残るから意見を付けるしかない。

 委 員: 今決まっている基準から×という判断は出てこない。

 委 員: 事務局で、学園に大体OKと伝えるのか。まだまだ分かりませんと
      伝えるのかで全然違う。

「承伏しかねます」という形で言わせてもらったんです

翌日の2011年8月30日、幸福の科学学園に対して総務課は「一次認可」を伝えました。
その後、最初に開催された私学審議会の冒頭において、事務局は下記のように切り出しました。

[2011年10月31日の私学審議会議事録15ページ(pdf2ページ)より引用]

 事務局: 去る8月29日に開催しました私立学校審議会におきまして、幸福の科学学園関西
      中学校・高等学校の設置認可について諮問を行いましたところ、審議会のご意見と
      いうことで、さきほどの草津看護専門学校 と同じような形で、施設設備の確認を
      持って認可を適当とするというような結論を頂いた
かと存じます。

      それにあたりましては、委員会として意見を付けようということでおまとめいただいた。
      会長のほうで、意見を付けようということでおまとめいただいたと思います。

      それにつきまして、事務局の方で文言整理させていただいた上で、各委員に持ち回り、
      文言の修正等、詳細につきまして説明なりご意見を頂まして、みなさんの合意を頂いた
      上で、ただ今お配りしましたような意見として取りまとめさせていただきました。

       (3つの意見、朗読)

      これにつきましては、9月9日に学園側に来庁いただきまして、審議会の意見、3番目
      につきましては県に対するご意見でございますけれども、上の1点、2点ということで、
      学園側に伝えさせていただきました。


      ということで、今回の審議会の場でご報告をさせていただきます。

「正式に今日の日付では何も出ることはないのであろう」という委員からの問い掛けに対して、
「今日は諮問したということ」と答えていた事務局である滋賀県総務課でしたが、
この日、委員に対しては、8月29日に認可を適当とするというような結論を得た、「審議会の意見」
という位置付けでとりまとめた3つの意見は、9月9日に学園に伝えたと説明したのです。

しかし、委員から声が上がります。
それは、総務課の進め方に対して、真っ向から反論する内容でした。

[2011年10月31日の私学審議会議事録15ページ(pdf2ページ)より引用]
 委 員: 事実関係、私の認識と違うんですけれども、8月29日の審議会が終わってから、
      9月●日頃だと思うのですが、●●●へ総務課の方が、参られまして、たぶんこれと
      同じものやったと思うんですけれども、 私に見てくださいと「これでよろしいですか?」
      という形でこられました。

      私はこれを読んで、審議の順序が逆じゃないのかなと思ったので、あえて会長に私の
      意見をお伝えくださいとお願いをしました。一つ目は「私自身としては、もう一度
      集まって全体で、意見、29日は条件という言葉だったと思うのですが、この文書では
      意見となっているのですが、意見を含めて全体の場でもう一遍確認してから幸福の科学
      学園の方に伝えるべきだ。」ということを言いまして、

      「今の時点では、私は承伏しかねます。」


      ということで、会長に9月●日の時点ではお伝えくださいという風に申し上げました。

      その後、全然連絡がなくて、今日、ぱっとこれが出てきて確認して欲しいということ
      なんですけれども、これはやっぱり9月9日の学園に伝える前に、きちっと審議会の
      委員の先生方の意見なんかを、軽視したと見られかねないような審議の運営があった
      ん違うかなということで、あえて意見を出させていただいたんですけれども。


 委 員: そうですか、それはちょっと初耳やな。

 委 員: 私も同じように、会長さんに伝えてくださいと。私のところには●●さんがいらっしゃった
      んですけど、もう一度、私は採決とられなかったので、集まりがあると思っていました。
      9月10日に地域の方とのお話し合いをされた後ぐらいに、お話があると思っていました。


      (中略)

      まず一番に地域の連携がされていないということと、二つ目に公共性の問題、三つ目に
      安全性の問題として、●●としては反対していますということを、●●さんにお伝えしたら、
      私が反対しているということは会長にお伝えしたら、私が反対しているということは会長に
      お伝えしますということで帰っていかれたんですけれども、その後、何も連絡がないので、
      知事あてにお手紙を書きました。

      私が思っていた内容とは違うということ。それをもし、よろしければ読ませていただいても
      よろしいでしょうか。

これに対して、事実関係の確認が始まります。
その反論は「一次認可」の是非の判断そのものに関わる極めて重要なものでした。

[2011年10月31日の私学審議会議事録16ページ(pdf3ページ)より引用]
 議 長: 8月29日にまとめさせて頂いたのは、この案件は施設設備の確認が必要であるので、
      それを確認した上で認可についての最終結論を出す。従って、その間は継続審議。
      ただし、この案件については、地元の心配もあるので、その意見をまとめさせて
      いただこうと。あそこでまとめられれば良かったのですが、時間なく大変申し訳
      なかったのですが。文案作って、委員の皆様に確認した上で、ご了解を得て、
      意見としてまとめたいというところまでは申し上げたと思うのですが。そのへんまでは
      よろしいですね。そうすると、説明に行っていただいて、内容に異議とか、方法に
      異議ありというご意見があったのか。

 事務局: 分担して行きましたので、先ほど私、●●の方からお名前を頂きましたけれども、
      確かに●●のところに伺わせていただいて、反対やというようなことでおっしゃら
      れました。

      そのことは会長に伝えますというようなことを申し上げたと思うんですけれども、
      事務局といたしまして、あのときは先ほど出させていただいきました審議会の意見
      として、その内容の確認の意味で、みなさんのところ回らせていただいたということ
      でございますので、本体の部分につきましては、審議会の中で特にご意見もなかった、
      議論の中で承認いただいたという認識をしておりました
ので、こういう形でまとめさせて
      いただいた次第でございます。

 委 員: 私は、「承伏しかねます。」という形で言わせてもらったんです。

      というのは、意見の位置付けがよくわからなかったんですね。つまり、これを条件に
      認可を旨とするのか、認可してからこの条件についてできるだけ努力しなさいと言うて
      はるのか、あるいは単なる意見として知事に具申しただけのことなのか、意見の位置
      付けもよくわからないし、このことについてはもう一度集まって、きちんと議論して、
      全体で合意してやることだ
という風に私は言いましたので、再度、もう一度審議会を
      開いてください、ということは、開いて決めるべきことだということは、申し上げた
      つもりでございます。口頭でしたけれども、そういう形で申し上げました。

 委 員: 私は採決をとられなかったということで、もう一回あるものだと、本当に思っていました。

 委 員: 実は私も、今日遅刻して来たのは、この課題が審議されると思って、絶対今日は
      寄せてもらわんとあかん、ということで、前回でも、賛成でも反対でもなく、やはり
      住民とのこれだけいろいろあるという部分が 軋轢になるのが、最初から分かって
      いますので、その辺、今日逆に、最終の審議があると思っておりました。


委員の反論は、8月29日の審議会で、当初、設備審査等の書類審査は問題ないとされたものの、
その後、地元と抱える問題や安全性の問題が提起されたため、付言のつけ方を含めた
「一次認可そのもの」に関して意思確認を全体の場でするものだと思っていたという主張でした。

それは「8月29日付けで何も出ることはないか」という念押しの問い掛けに対して、
「諮問したということ」という発言を事務局から受けていた委員は「その日、決定は何もなかった」
と認識して当然と言えるでしょう。

しかしながら、総務課職員は、意思決定権を持つはずの委員に向けて、
事務局である自らの行動を正当化する発言を繰り返します。

[2011年10月31日の私学審議会議事録28ページ(pdf15ページ)より引用]
 事務局: 基本的には基準を満たしているから、認可をされることが適当であるという結論が
      あってですね、そこに意見として3点出しましょう。その3点の文言については、
      事務局で草案して、各委員さんに諮ったらというのがあったということですよね。

 委 員: 諮られたわけですね。諮られて結果が出ていないんですよね。

 事務局: 結果はこういう形では出来ませんでしたけれども、個々の委員さんのご意見は聞かせて
      もらって、最終、会長のご判断で出させていただいた、ということなんです。


しかしながら、8月29日の審議会の最後で、「委員長が判断されてはどうか」という委員の
問いに対して委員長は「それもあわせてお聞きする」としていたにも関わらず、
「最終、会長のご判断で出させていただいた、ということなんです。」と回答は、
まるで、会長と総務課だけで意思決定を行ったことを自白するような返答も正当性を
著しく欠いているといわざるを得ません。

「これは明確に総務課のフライング行為」「総務課さんに対して異議を申し上げたい」

紛糾したまま終了した10月31日の私学審議会でしたが、その後に行われた審議会においても、
事務局である総務課職員は事あるたびに、「8月29日に決定があった」「もう結果は出ている」
とする次のような発言を繰り返しました。

[2012年1月12日の私学審議会(協議会)議事録2ページより引用]

 事務局: 8月29日の審議会で方向性というのは出されておりますので、一応審議は終わったと。


この事務局の発言に対して、「これは明確に総務課のフライング行為」「総務課さんに対して
異議を申し上げたい」という、正常な議論・運営が行われた私学審議会ではあり得ないような
非難の指摘が行われました。

[2012年1月12日の私学審議会(協議会)議事録4ページより引用]

   (中略)
 委 員: そしたらやっぱり議長さんがおっしゃっているように、●●さんの方から、文書で諮って
      委員が合意したと委員長が判断されたらどうですか、と●●おっしゃっているんですけど
      も、議長はそれもあわせて全体に聞くんだとということで、このような状況なので、
      各委員にお聞きすることにすると、いう議長のまとめで終わっているわけですよね。

      そうすると私が思ったのは、3つの付帯条件というのは、いったいどういう、持って
      こられた時に「これでいいですか」と言われたときに、私ふと思ったのは、この3つの
      付帯条件というのは、これを条件に認めるという風に考えたらいいのか、認めるけども
      これを条件にするのか、そのへんのことが曖昧なので、ちょっと僕は、もう一度全体で
      諮ってください、私は言った一人です。

      今もその考えを持っておりますしね。

      そういう状況の中で、なぜ総務課がそんなに早く9月になってから、概ね良好であとは
      継続審議という、いわゆる第一次審査の結果を幸福の科学学園に言われたのか、
      私はこれは明確に総務課のフライング行為だと私は思っています。

      こんなことがこれから起こるんだったら、私は私学審議会として何が議論したらいいのか
      というのが、もう一度考えないといけないし、法律に合っているだけやったら、別に
      総務課さんで判断しはったらいいことであって、私たちは地域の方の思いや、今ある
      私学の経営や募集状況や、それから学校の公共性や地域との関係を、総合的に見て
      判断するのが私学審議会の役割やと思っていますからね、

      そういう形でやられたことに対しては、私非常に今改めて、総務課さんに対して異議を
      申し上げたいと思っております。

8月29日の審議会で「一次認可」の決定があったことの正当性について、事務局である
総務課職員が、審査権限のある委員に対して説き伏せようとしていた事実は、理解に苦しむ
と言わざるを得ません。

まるで、8月30日に学園に「審査基準におおむね適合しており継続審議とする」と一次認可を伝え、
後戻りできない状況にあったからこそ、8月29日に決定があったことを正当化しているようにしか
感じられません。

3万筆の反対署名が知事に手渡された"わずか3日後"に事務局はフライング行為

2011年8月29日の私学審議会での「一次認可」を巡る議論について、もう一つ忘れてはならない
出来事があります。それは、そのわずか3日前、2011年8月26日に滋賀県庁にて学園の建設反対
を求める署名が滋賀県知事に手渡しで提出されたことです。

滋賀県知事への署名提出
  [提出された署名の内訳]
   ・全署名数 :: 30,999筆
   ・滋賀県内 :: 23,826筆、 大津市内 :: 20,958筆
   ・仰木の里学区内 :: 8,007筆(署名世帯割合=76%)


この署名提出時の滋賀県知事より、学校の設置認可については、
「第三者機関で公正に審査していただく」との発言があったばかりでした。

写真 (写真撮影:仰木の里まちづくり連合協議会)

私学審議会が適正に運営され、議論が尽くされた上での「一次認可」が運営規則に
定める裁決の末に決定があったのであれば、禍根を残すこともなかったでしょう。

しかし、実際には、事務局である滋賀県総務部総務課により、
委員をも激怒させるような「ずさん運営の果ての強弁」が「一次認可」とされた出来事が、
署名提出から"わずか3日後"から行われました。

このような事務局の行為は、署名の形で声を届け、「公正に審査していただく」という
知事の言葉を信じた人々への裏切り行為だったといわざるを得ません。