学園用地の“地盤安全率”が明らかに。黒塗りの下は「既に滑っている」とされた数値。
幸福の科学学園・関西校の学校用地の地盤安全性への疑義に端を発した学園校舎・寄宿舎の建築確認取消訴訟は、校舎棟・寄宿舎棟の除却・使用停止等の義務付けを求める裁判として今なお続いています。 その裁判において、大津市が委託した調査業者の報告書として学園用地の地盤安全率の数値が裁判所に提出され、明らかになるという大きな動きがありました。大津地裁による文書提出命令を受けての数値開示。開示には1年を費やす。
この数値は、2015年12月28日に大津地裁が下した文書提出命令に応じて、大津市が大規模盛土造成地の変動予測調査の結果報告書の黒塗りを開示する形で提出したものでした。 この調査は、谷埋め盛土造成地における地滑り災害防止を目的に国交省が作成した「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドライン」に基づいて全国の各自治体で取り組みが進んでおり、大津市でも「1.5次スクリーニング」と呼ばれる地盤調査が実施されていました。 客観性の観点から、調査は大津市が委託した第三者調査業者により行われましたが、その対象に学園用地が含まれていたことが判明したため、 開校前から住民が大津市に調査数値の公開を迫っていました。大津市委託業者が調査したのは2箇所
校舎棟と寄宿舎棟の間の道路(図中:調査箇所A)
と学園斜面(図中:調査箇所B)
大津地裁の文書提出命令の決定に至るには1年以上の審理を要しましたが、最終的には「実質的証拠力を有する」という判断理由から、開示命令となりました。
[引用 : 大津地裁 文書提出命令決定 6-7ページより]
(二次元安定計算の結果について)第1次スクリーニング結果及び本件簡易調査によって得られた数値を基に算出されたものであり、
利用された計算式も本件ガイドラインに掲載された計算方法等であり、本件学園敷地の地盤の固さや滑りやすさを示す数値であることからすると、
現時点での本件学園敷地の地すべり発生の蓋然性を一応示すものであるといえ、本件学園敷地の地すべりの蓋然性について一応の実質的証拠力を有すると認められる。
この決定の直後には、大津市が大阪高裁へ文書提出命令の是非を巡る抗告を行うことで、公開が延期される可能性もありましたが、 まち連が大津市長へ申入れを行うなどのやり取りもあり、最終的に公表となりました。
[大津地裁による文書提出命令決定までの経過]
時期 | 出来事 |
---|---|
2014年10月15日 | 原告が「文書提出命令の申立書」を提出する |
2014年2月7日 | 原告が「文書提出命令申立て」を提出する |
2015年2月24日 | 被告・大津市が「文書提出命令に対する意見書」を提出する |
2015年12月28日 | 大津地裁が「文書提出命令決定」を大津市に行う |
2016年1月14日 | まち連が「文書提出命令に関する申入書」を大津市長に提出する (高裁に抗告せず、開示することを求める申入れ) |
2016年1月28日 | 大津市より部分開示された文書が大津地裁に提出される |
大津市提出資料に記載の数値は、設計で確保すべき安全率を下回る結果に
表に今回開示された数値と、これまで住民(原告)と被告(大津市)が裁判所に提出してきた地盤安全率をまとめます。
安全率の目安については、大津市の専門家が裁判所に提出した乙2号証に言及があり、
設計時の計画安全率は常時が1.5、地震時は1.0とすべきとの事でしたが、
開示文書に記された数値は設計で確保すべき指標を大幅に下回る数値でした。
[表 : 学園用地の地盤安全率の計算結果の比較] ※大津地裁への提出資料より抽出
"資料"欄のリンクをクリックすると別ウインドウで各資料が表示されます
[開示文書:二次元安定計算結果]
「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドライン」に基づく、大津市の1.5次スクリーニング結果
学園斜面の数値は、原告弁護団・専門家が提出した数値に非常に近く、粘性土地盤の場合のφ=0の地震時の安全率に至っては数値が完全に一致していました。 一方、被告弁護団・専門家が裁判所に提示した予測数値との比較すると、様々な前提を想定した数値が複数回提出され、反論が行われましたが、どれも程遠い結果でした。 更には、平地部分である校舎棟と寄宿舎棟の間の道路でさえも、設計でクリアすべき地盤安全率を下回る結果でした。
[表 : 学園用地の地盤安全率の計算結果の比較] ※大津地裁への提出資料より抽出
"資料"欄のリンクをクリックすると別ウインドウで各資料が表示されます
評価者 | 資料 | 調査地点 | 安全率 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
φ=15(砂礫土) | φ=0(粘性土) | |||||
常時 | 地震時 | 常時 | 地震時 | |||
原告弁護団 (住民) | 甲26号証 | 斜面B | - | - | 0.819 | 0.386 |
被告弁護団 (大津市) | 乙2号証 | 斜面B | 3.084 | 1.134 | - | - |
乙15号証 | - | 1.309 | - | - | ||
乙16号証 | - | 1.549 | - | - | ||
大津市 (調査委託会社) | 開示文書 (結果) | 道路A | 2.816 | 0.873 | 1.419 | 0.451 |
斜面B | 1.780 | 0.729 | 0.907 | 0.386 |
「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドライン」に基づく、大津市の1.5次スクリーニング結果
学園斜面の数値は、原告弁護団・専門家が提出した数値に非常に近く、粘性土地盤の場合のφ=0の地震時の安全率に至っては数値が完全に一致していました。 一方、被告弁護団・専門家が裁判所に提示した予測数値との比較すると、様々な前提を想定した数値が複数回提出され、反論が行われましたが、どれも程遠い結果でした。 更には、平地部分である校舎棟と寄宿舎棟の間の道路でさえも、設計でクリアすべき地盤安全率を下回る結果でした。
地盤安全率の計算を大きく左右する「地下水の有無」。大津市の主張は「ちぐはぐ」。
もっとも、地盤安全率の計算結果を大きく左右する学園用地の「地下水の有無」については、
原告・住民と被告・大津市の間で争いとなっています。
上表の黄色の欄に数値が入っていない理由はそのためで、大津市は学園用地は「地下水がある」ような「粘性土」の地盤ではなく、「砂礫土」の地盤と主張しているために、Φ=0の粘性土地盤の場合の計算は対象外として扱っているのです。
しかしながら、地下水については、大津地裁が文書提出命令決定文の中で、大津市自身が提出した乙11号証の「地下水あり」の記載が引用されています。
[引用 : 乙11号証より抜粋]
[引用 : 大津地裁 文書提出命令決定文 4-5ページより]
この点について、最新の大津市の主張では、これらを「たまり水」と言い直しをしています。
[引用 : 大津市 被告準備書面(7) 3ページより]
しかしながら、開示の結果が結果的に原告算出の安全率に著しく近かったことを考えると、 甲26号証の「地下水あり」の前提を大津市の専門家があえて「地下水なし」として計算したために数値がかけ離れた可能性があります。
そもそも、異なる時期に提出した文書間で主張の辻褄が合っていない点からも、大津市が「地下水がない」と断定できる材料を持ち合わせていないことはもはや自明ですが、むしろ、地下水が無い事の立証は従前から裁判所に提出していた数値が間違っていないことを反論する上で、大津市側が証明すべき事柄になったのかもしれません。
さらに別の見方として、大津市は平成26年7月22日提出の被告準備書面(7)の中で、解析モデルが簡易だとして、そもそもこの値が信用できない趣旨の反論をしています。 しかしながら、自らが調査委託した業者の報告を自ら否定するのであれば、大津市内の50を越える地点に対して、 税金投入してまで、なぜその方法で大規模盛土調査をさせたのかという疑問すら新たに湧いてきます。
しかしながら、地下水については、大津地裁が文書提出命令決定文の中で、大津市自身が提出した乙11号証の「地下水あり」の記載が引用されています。
[引用 : 乙11号証より抜粋]
[引用 : 大津地裁 文書提出命令決定文 4-5ページより]
本簡易調査において、本件学園の敷地地点は「No.55-3_H24BV-2」 (中略)
「55-3」地区にはA〜Iの合計9ブロックが存在するところ、本件学園敷地が存在するのは、55-3地区のBブロックである。
(中略)
乙11にはBブロックについて、以下のとおりの記載がある。
盛土区分 谷埋 盛土面積 16200u 盛土幅 90m
盛土厚さ 15m 地下水 あり 盛土材 不明
基礎地盤 軟弱地盤(無) 盛土・地盤の推定根拠 予測可能
(中略)
乙11にはBブロックについて、以下のとおりの記載がある。
盛土区分 谷埋 盛土面積 16200u 盛土幅 90m
盛土厚さ 15m 地下水 あり 盛土材 不明
基礎地盤 軟弱地盤(無) 盛土・地盤の推定根拠 予測可能
この点について、最新の大津市の主張では、これらを「たまり水」と言い直しをしています。
[引用 : 大津市 被告準備書面(7) 3ページより]
(「乙7号証、乙8号証の3、同4」を引用し、)「この簡易土質調査の結果を踏まえて作成された乙11号・12号証では、地下水は「あり」としているが、
これは既に述べたとおり「たまり水の可能性がある」という調査結果を
「詳細調査計画策定における優先度の評価」という業務目的に照らし、慎重を期して暫定的に「地下水あり」としたものに過ぎず、地下水があるという確定的な判断をしたものではない。」
しかしながら、開示の結果が結果的に原告算出の安全率に著しく近かったことを考えると、 甲26号証の「地下水あり」の前提を大津市の専門家があえて「地下水なし」として計算したために数値がかけ離れた可能性があります。
そもそも、異なる時期に提出した文書間で主張の辻褄が合っていない点からも、大津市が「地下水がない」と断定できる材料を持ち合わせていないことはもはや自明ですが、むしろ、地下水が無い事の立証は従前から裁判所に提出していた数値が間違っていないことを反論する上で、大津市側が証明すべき事柄になったのかもしれません。
さらに別の見方として、大津市は平成26年7月22日提出の被告準備書面(7)の中で、解析モデルが簡易だとして、そもそもこの値が信用できない趣旨の反論をしています。 しかしながら、自らが調査委託した業者の報告を自ら否定するのであれば、大津市内の50を越える地点に対して、 税金投入してまで、なぜその方法で大規模盛土調査をさせたのかという疑問すら新たに湧いてきます。
調査業者が報告した地盤安全率は、大津市が「既に滑っている」と説明してきた数値
ところで、地盤安全率を巡る議論は、学園計画当初より様々な場で取り上げられ、建築や学校設置の判断に影響を及ぼしてきました。
非常に残念であったのは、今回公表された数値が、様々な機会を捉えて「そんな数値だったら既に滑っている」
と述べられていた数値であったことです。
[引用 : 乙2号証 安定計算検証書(大津市・専門家意見書) 2ページ目17-20行目より]
さらに、8300人を超える請求人を伴った建築審査会の審議の場でも住民提出の安全率の数値は取り上げられていましたが、「その数値はありえない」を前提に、大津市職員が住民の指摘を全面的に否定し、 「地盤は安全」と強弁することで諮問委員を説得した様子が議事録に記されていました。
[引用 : 2012年第1回大津市建築審査会(平成24年4月18日)・議事録8-9ページ]
しかし、「滑っている」と発言していた数値が大津市自身から裁判所に提出されたことは、明らかな自己矛盾であり、 過去の住民説明の信憑性に大きな疑問符が付くことになりました。
[引用 : 乙2号証 安定計算検証書(大津市・専門家意見書) 2ページ目17-20行目より]
(原告が算出した) 解析結果による常時の安全率が0.819、地震時の安全率が0.386では、
〜(中略) 〜
また、当然のことながら降雨の度に崩壊や地震動を受けるたびに崩壊や地すべりが起きていることになる。
〜(中略) 〜
また、当然のことながら降雨の度に崩壊や地震動を受けるたびに崩壊や地すべりが起きていることになる。
さらに、8300人を超える請求人を伴った建築審査会の審議の場でも住民提出の安全率の数値は取り上げられていましたが、「その数値はありえない」を前提に、大津市職員が住民の指摘を全面的に否定し、 「地盤は安全」と強弁することで諮問委員を説得した様子が議事録に記されていました。
[引用 : 2012年第1回大津市建築審査会(平成24年4月18日)・議事録8-9ページ]
都市計画部長 : 「通常時で0.8ということは、今でも滑っているということです。
地震時はわかりませんが、通常地震以外のときに1を割っているということは、いつでも滑っている。
この10年以上、概成して15年以上経っているが、0.8いうことは不安定で、動いていつでも滑っているということになるので、この計算は現実とあわないのではないかと考えています。」
しかし、「滑っている」と発言していた数値が大津市自身から裁判所に提出されたことは、明らかな自己矛盾であり、 過去の住民説明の信憑性に大きな疑問符が付くことになりました。
計画安全率を下回る数値が浮彫りにした過去の私学審議会の議論の矛盾
さらには、この議論の結果である建築審査会の裁決を前提に学校設置等の判断がなされた事も忘れてはなりません。そもそも、滋賀県・私学審でも地盤安全性は学校設置認可の重要な審査要件でした。学校設置認可時の議論では、議事録によると(1)から(4)の4点を根拠に地盤は安全と判断され学校設置認可がなされましたが、その4点全てに疑問を残す状態で認可されていました。
滋賀県私学審議会の議事録によれば、学園は土地の所有者として学校設置認可に向けた
私学審議会の委員への直接説明の機会に次のように説明していました。
[引用 : 平成24年度第3回滋賀県私立学校審議会(平成25年2月6日)議事録 4ページより]
そして、地盤安全性について議長に尋ねられたある委員は、この発言を踏まえて次のように発言し、他の委員に同調を促していました。
[引用 : 平成24年度第3回滋賀県私立学校審議会(平成25年2月6日)議事録 26ページより]
しかし、学園用地の地盤安全率の数値が明らかとなった今では、「地盤は安全」と説明した学園の自信の根拠はどこから来ていたか疑わざるを得ません。 少なくとも、このような数値の出ている用地を防災時の拠点として利用するということは選択肢に入ってくることはないでしょう。 さらに、問題の数値を算出したのが当時頼った行政自身であった今となっては、 委員が私学審議会で行政判断に追従して是と判断した議論にも大いに疑問が残ります。
滋賀県私学審議会で地盤は安全とされた根拠と理由 | ||
---|---|---|
(1) | 理由 | 大津市建築審査会で住民側の請求が棄却されたこと |
実際 | 地盤の安全を担保したのではなく、建築審査会としてその判断に踏み込まない という結論だったが、私学審議会ではその説明は無かった。 | |
(2) | 理由 | 大津地裁で原告の執行停止の申立ては却下されたこと |
実際 | 執行停止の却下理由は「緊急」の要件が理由。 しかし、それを安全が担保されたとして説明している。 開発該当の疑義については、本審理で継続議論となったことも触れられず。 | |
(3) | 理由 | 建築確認の検査済証の発行されていること |
実際 | 大津市長が建築確認そのそもの「疑義がある」として 検査済証を下ろさないように行政指導文書を出したことは触れられず。 [大都開第282号:都市計画法違反の疑いを指摘した行政指導文書(まち連HP)] | |
(4) | 理由 | 土地を買うときにURが学園に対して安全と言って買っていること |
実際 | UR説明を裏付ける科学的根拠は最後まで無かったこと。 (今回の結果で、安全性の疑義は拡大) |
[引用 : 平成24年度第3回滋賀県私立学校審議会(平成25年2月6日)議事録 4ページより]
学園 : 我々としては少なくとも、もう安全な土地に、より安全な工法で建物を建て、建築をさせていただいているという、
ある意味では自負。逆に言いますとですね、こちらのほうがもしもの時の防災上のですね、地域の方々に貢献できる、
最大の拠点になるんじゃないかなと、こういうふうに思っておる次第でございます。
そして、地盤安全性について議長に尋ねられたある委員は、この発言を踏まえて次のように発言し、他の委員に同調を促していました。
[引用 : 平成24年度第3回滋賀県私立学校審議会(平成25年2月6日)議事録 26ページより]
委員 : (建築審査会の裁決書を引用し)法に適っているという形で、妥当という裁決書が出ているわけで、
行政的には問題ないんだと。私ら素人の段階ですからこれに頼らざるを得ませんし
しかし、学園用地の地盤安全率の数値が明らかとなった今では、「地盤は安全」と説明した学園の自信の根拠はどこから来ていたか疑わざるを得ません。 少なくとも、このような数値の出ている用地を防災時の拠点として利用するということは選択肢に入ってくることはないでしょう。 さらに、問題の数値を算出したのが当時頼った行政自身であった今となっては、 委員が私学審議会で行政判断に追従して是と判断した議論にも大いに疑問が残ります。
住民は地盤に是正措置する機会を逸失したことを再認識。今後の大津市の反論は?
ところで、もしも最初から”開発該当”の判断がなされていた場合には、どうなっていたのでしょうか。
開発該当であったのであれば、学園用地の地盤安全率は開発審査の過程で当然にチェックされ、工事着工前に分かっていた事になります。そして、その結果を踏まえた工事により、適切な是正措置を講ずることが可能だったはずなのです。残念ながら、着工前の住民指摘が今となって肯定されたとなれば、今回、改めてその貴重な機会を逃した事の重大さが浮き彫りになりました。
振り返ると、大規模盛土調査が並行して行われていた同年の大津市建築審査会において、 地盤安全性の判断に踏み込まない結論に至る議論の中で、ある委員は下記のように述べていました。
[引用 : 2012年第1回大津市建築審査会(平成24年4月18日)・議事録10ページより]
現在、その訴訟の場で、地盤が安全でないという客観的データが当時説明する側だった大津市から提出されたことについて、当時の関係者はどのように思っているのでしょうか。
さらには、今回の文書提出命令に至る過程で大津市は文書開示は不要だとして争ってきましたが、その裏には「地盤安全率の調査結果を既に見た上で開示不要を主張をしてきたこと」を忘れてはなりません。 大津市は関西校が開校する直前の2013年3月の時点には調査結果を入手できており、その上で住民対応を行っていたのです。
守備範囲に入ってきた今、今回の公表値を踏まえて大津市弁護士・専門家からどのような反論・釈明がなされるのか、今後の訴訟の行方に注目していきたいと思います。
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開発該当であったのであれば、学園用地の地盤安全率は開発審査の過程で当然にチェックされ、工事着工前に分かっていた事になります。そして、その結果を踏まえた工事により、適切な是正措置を講ずることが可能だったはずなのです。残念ながら、着工前の住民指摘が今となって肯定されたとなれば、今回、改めてその貴重な機会を逃した事の重大さが浮き彫りになりました。
振り返ると、大規模盛土調査が並行して行われていた同年の大津市建築審査会において、 地盤安全性の判断に踏み込まない結論に至る議論の中で、ある委員は下記のように述べていました。
[引用 : 2012年第1回大津市建築審査会(平成24年4月18日)・議事録10ページより]
(委員)まず本格的にその辺のデータを、ボーリングをし直して、予算的な問題も含めて、ということは時間的にも予算的にもこの審査会で行うというのは無理がある。そうしたときにこの数値をどう評価するか。
(委員) 守備範囲の話になってこざるを得ないと思う。後は例えば訴訟なり何なりで、請求人の方は別の場でされることかなと。ここはここの守備範囲が一応あると思う。
(委員) 守備範囲の話になってこざるを得ないと思う。後は例えば訴訟なり何なりで、請求人の方は別の場でされることかなと。ここはここの守備範囲が一応あると思う。
現在、その訴訟の場で、地盤が安全でないという客観的データが当時説明する側だった大津市から提出されたことについて、当時の関係者はどのように思っているのでしょうか。
さらには、今回の文書提出命令に至る過程で大津市は文書開示は不要だとして争ってきましたが、その裏には「地盤安全率の調査結果を既に見た上で開示不要を主張をしてきたこと」を忘れてはなりません。 大津市は関西校が開校する直前の2013年3月の時点には調査結果を入手できており、その上で住民対応を行っていたのです。
守備範囲に入ってきた今、今回の公表値を踏まえて大津市弁護士・専門家からどのような反論・釈明がなされるのか、今後の訴訟の行方に注目していきたいと思います。
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