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問題点A : 建築着工に向けた急いで「一次認可」を伝えた背景はなかったか?

「一次認可」を伝えた理由は「差し迫った状況があった」から!?

問題点@の記事において、学校設置計画の承認とされる「第一次認可」を巡り、私学審議会の
委員から、事務局に対して、「これは明確に総務課のフライング行為だと私は思っています」
という指摘が浴びせられる
など、私学審議会の意思決定に対する疑問・非難の中、審議会が
運営されたことを紹介しました。

では、なぜ、事務局である滋賀県総務部総務課の職員は、
幸福の科学学園に「一次認可」を伝えることを急いだのでしょうか?

その可能性を示唆する総務課が事務局として行った発言を下記に引用します。

[2011年10月31日の私学審議会議事録22ページ(pdf9ページ)下段より引用]

 委 員: もし、建物が建った後でダメとなったら、損害賠償とかはどうされるのですか。

 事務局: 出てくるでしょうね。今は、継続審議であって、最終的な答申の段階ではないですよね。

      特に重要な今回のような案件について、継続審議プラス意見を付けて、
      なるべく早く幸福さんの方に伝えて、学園に「一次認可」を伝えることを実践して
      いってもらわなければならないということで、差し迫った状況があったと思うんですよ。

      ですから、9月10日までになんとかそれを伝えたほうがいいやろう、ということで、
      我々の方もかけずりまわって、ご説明にあがったという経緯なんですけれども。

 委 員: 今の意見、あんまり言わない方がいいと思うんです。
      審査される側の都合で、審査する側が動いたように取られたら困るんで。


このように総務課は、9月10日以前に私学審議会の意見として「一次認可」を伝えた理由として、
「差し迫った状況があった」からと理由付けしています。そして「9月10日までになんとかそれを
伝えたほうがいいやろう」と総務課の自らの思いとしてと主張しています。

要するに、建築の前に「"総務課が"一次認可を伝えたかった」ということです。

しかし、差し迫ったとされる状況を踏まえてどのような行動を起こすのか、それを決めるのは
私学審議会のはずです。

ましてや、説明の域を超え、合意形成まで私学審議会の開催されていない個別訪問でまとめる
という私学審議会の運営規則にない行為が行われたことには、委員の反発を受けている点からも
問題があったと言わざるを得ません。

また、一次認可を伝えた後から、委員から後になって疑問を呈されたとしても、簡単には
覆らないことを知りながら、このように確信犯的に進めた可能性さえ否定できません。

2012年11月、当時の田中眞紀子文科省大臣が大学設置審査会が「認可を適当とする」とした
事案に対して、大臣の判断で「不認可」としたことで、建設準備の進めている校舎・設備の扱い、
入学・受験予定の生徒への配慮を巡っる全国的な議論へと発展しました。

その際には、大学設置審査会での予定調和的な「認可ありき」の審査が進められた可能性を
問題視する論調がありましたが、幸福の科学学園・関西校に関しても、建築と並行で学校設置の
判断を私学審議会で行わなければならなかったという境遇をプレッシャーに感じた委員がいた
ことは間違いなさそうです。

「学校設置の「一次認可」の判断と建築着工は関係無い」と説明した事務局

ところで、先に引用した発言は、「建築」と「一次認可」との関係性を問われた事務局の発言から
導かれたものでした。これより以前の議事録に遡ると、事務局は私学審議会の「学校設置認可」と
「建築工事着工」との関係性について、2度に渡って言及しています。

[2011年8月29日の私学審議会議事録11ページ(pdf11ページ)より引用]

 委 員: 今後のスケジュールに、10月上旬に工事着工とあるが、本日の審議会との
      かかわりはどうなのか?

 事務局: 本日の雰囲気を聞くだけであり、それで設計、建築確認、着工にかかって
      いくことになる。建築と認可は別の話であるので、進められる。


[2011年8月29日の私学審議会議事録15ページ(pdf15ページ)より引用]

 委 員: 仮に審議会での意見が出なくても、こうなるであろうという予測のもとに工事が
      進められる可能性はある、と聞いたことがあるがどうか。

 事務局: 建物を建てるのは建築確認の手続きであるので、建てられる。

 委 員: 学園の建築スケジュールには、今回の審議会の結論は関係なく、最終的に25年3月に
       認可できればいいのであれば、若干遅らせてもいいのではないか。


この発言より「建築」と「設置認可」は、直接は関係しないということが審議会の委員に対して、
事前に伝えられたうえで8/29の審議会の議論が進んだことは明白で、2011年8月29日の「結論」を
若干遅らせてもいいのではないかとまで発言まで出ています。


これは、私学審議会での議論の結論が、建築手続きを拘束できないのであれば、早急に結論を
急がなくても良い、8月29日に急いで結論を出さなくても良いという意思をも含み得る発言でしょう。

譲渡契約書を見ても一次認可が関係しないことは明らかなのに、なぜ急ぐ?

「一次認可」が、建設着工と関係がなかったことを具体的に示す文書も明らかになっています。

仰木の里まちづくり連合会(略称:まち連)がURへの情報公開請求により入手した幸福の科学
学園・関西校の建設用地に関する土地譲渡契約書には下記のように記載されていました。


 第4条「土地の所有権移転および土地引き渡し時期は平成23年10月31日を
     超えることができないものとする。」

 第23条「滋賀県の学校設置認可の手続きに関する事前協議をすすめ・・・ (中略)・・・
     学校設置認可の申請が受理されたことを証する書面を添付して・・・ (中略)協議が
     完了したことを通知するものとする。」


契約書によれば、幸福の科学学園の用地は「土地引き渡しは10月31日を超えられない」とある
ものの、私学審議会での「第一次認可」が土地引き渡しの条件となっていないのは明確です。

条件となっていたのは、2011年4月15日に行われた学校設置認可申請書の受理だけでした。

幸福の科学学園・関西校の「一次認可」を巡っては、私学審議会での意思決定がなされる前に
学園に事務局から伝えられましたが、審議結果が建築を拘束しなかったのであれば、なおさら
諮問機関の存在意義を否定する「フライング行為」であったと言わざるを得ません。

「私学審議会は私学審議会」「やるべき議論はきちんと行う」とする委員の姿勢が、
事務局の「フライング行為」によって踏みにじられたのであれば、許されることではありません。

学校用地の譲渡契約は「建築着工の条件」だった可能性も。

実は、「一次認可」が建築着工の条件と間違われた可能性は否定できません。

その理由は、この文書を取得した後の2011年11月24日に仰木の里まちづくり連合会が行った
URとの面談で録音された音声に下記のようなやり取りが残っていたことからも伺えます。

[2011年11月24日のUR面談より]
  住民:これは10月31日までに決済をしなあかんという縛りなんですか?

  UR:まあそうですね、あの県との手続等がありますんで

  住民:県との手続があるので10月31日を超えちゃうとこの契約は?

  UR:まあ解除。

  住民:10月末というのは、なにで設定されているんです? 今、県との話と言われたんですけど

  UR:これはあの私学審査会ですかね、学校を建てていただくのが条件での販売ですからね。

しかし、この面談の直後に契約書に書かれていた「学校設置認可の申請が受理されたことを
称する文書」の情報公開請求が行われた段階になって、URは土地譲渡に必要だった書類は、
私学審議会が発行した書類でなく、滋賀県が受理する学校設置申請書だったと訂正しました。

UR訂正書


  URからの土地譲渡契約に関する訂正書



しかし、当事者であるUR自身が譲渡期限である2011年10月末の設定理由を「私学審議会」と
一旦語ったことは見過ごすことができない重要な事実
でしょう。

2011年8月末に過去から考えると異例とも言える月3度という過密日程で私学審議会を開催し、
私学審議会の委員に後に「フライング行為」と言われてまで、事務局が一次認可を学園に伝える
事にこだわったこだわった理由は、土地譲渡の条件が私学審議会と連動しているとされた中、
滋賀県総務部総務課が契約履行のために最大限の努力を払った可能性はないでしょうか。

このように、契約したURの担当者でさえ条件を取り違えた事実がある以上、私学審議会が、
多大な影響を受けた可能性は否定できません。