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建築審査会への審査請求とは?

仰木の里まちづくり連合協議会(略称:まち連)により、大津市建築審査会に対して、
幸福の科学学園・関西校の建設に関わる建築審査請求が行われました。

[関連HP]
大津市建築審査会 (大津市HP)   大津市建築審査会条例 (大津市HP)

今回は、建築審査会への審査請求の持つ意味について、過去の事例を踏まえながら解説します。

幸福の科学学園・関西校の建築確認に対する審査請求に至った背景

幸福の科学学園・関西校の建設予定地は、谷埋め盛り土から成る大規模傾斜地であり、
この計画が知らされて以来、近隣住民からは地盤安全性に関する懸念が多く挙がっていました。

この懸念に対して、住民は施工主に対して物的証拠に基づく安全確保の説明を要望しましたが、
現在に至るまで全く説明がなされないままとなっています。

 学校教育法に基づく中学校設置基準・高等学校設置基準では、「学校の施設および設備は、指導上、保健衛生上、
安全上および管理上適切なものでなければならない」とされ、滋賀県私立中学校・高等学校の設置認可等に関する
審査基準では、学校の位置は教育上および安全上適切な環境にあることとされ、特に、崖崩れ等自然災害に対して
安全であることが必要とされています。

 本件は、これらの上記規定に反しているものの、建築確認としては、その判断がなされないままに民間の
検査機構が「建築確認」を下ろし、工事が着工されたとして、仰木の里まちづくり連合会(略称:まち連)を中心に、
建築確認は不適当ではないかと「建築審査請求」を行うことになりました。

この審査会は公開で行われ、住民を含む一般人が傍聴できる場で、建築確認の妥当性が審議されることになります。

全国各地で建築審査会での審査請求が実施。建築確認の取消事例が何件も発生。


今回行われた建築審査請求は、広く開かれた場において、建築にかかる違法・不当な行為をチェックする
手続として、近年大いに注目されています。

日本全国に目を移すと、全国各地で建築審査会での審査請求は実施されており、
実際に、「建築確認取り消し」の裁定が何件も発生しています。

中には、そのまま建設中止に追い込まれたケースまで存在するのです。

西暦内容(URL)場所
2005年建築主事が行った分譲マンションの建築確認処分が取消された事例(横浜地裁)
2006年芦屋のマンション計画 建築確認取り消し兵庫県芦屋市
2007年大田区建築審査会の取消決済と建築確認の現状東京都大田区
2010年日影規制違反を理由に建築確認取り消し=愛知・名古屋愛知県名古屋市
特に、2005年の横浜地裁の判例事例では、建築確認の前提となる開発許可を受けていないことまでさかのぼり、
前提が覆った建築確認も不当とした判例は、今回の幸福の科学学園建設の論点と非常に酷似しています。

[関連HP]

横須賀市半地下マンション建築確認事件 (外部サイト、pdf4ページ目参照)

まちづくりに合理的な基準を 〜建築確認取消判決 (外部サイト、pdf2ページ目参照)

署名数は、全国で過去最大規模。日本中の注目が滋賀県大津市に集まります。

 今回の建築審査請求は、予定地の近隣住民が弁護団(仰木の里幸福の科学学園進出問題弁護団、
弁護士19名)に委任して、審査庁(大津市建築審査会)に対し、建築確認機関が確認した建築確認の
違法・不当性を審査請求するという形式が取られました。

その弁護士団に対する委任状は、原告適格が認められる範囲(※)が考慮された結果、
「20才以上、かつ、仰木の里学区、及び、その近隣学区の住民」に限定する形での署名回収が行われました。

審査請求には、建築確認が下りたことを知った日から60日以内に請求が必要という条件があることから、
約1ヶ月半という非常に短期間での署名活動となりましたが、地域からは8,331筆もの委任状署名が集まりました。

この委任状の規模は、過去に日本全国で行われた、どの建築審査請求をも凌ぐものとなりました。

つまり、このあと、大津市という舞台で「過去最大の建築審査請求」が行われることになるのです。

私学審議会での学校設置審議に与える影響は計り知れません。

この建築審査請求が法的な拘束力を有することから考えると、この審査の動向は滋賀県の私学審議会での
学校設置認可に関する審査に多大な影響を与えることになるでしょう。

過去に様々な土地安全性に関する認識が私学審議会を運営する滋賀県総務課から述べられていますが、
その根拠については、何一つ客観的な物的データによる説明はなされていません。

今回、多くの建築・土木分野の専門家による検証が行われる建築審査会での審議結果によっては、
滋賀県が「問題ない」とする土地安全性の議論に対して、法的拘束力を持つ大きな一石を投じることになるでしょう。

その動向が非常に注目されます。


※原告適格 : 処分取消訴訟及び裁決取消訴訟は、その処分又は裁決の取消しを求めるにつき
         法律上の利益を有する者に限り、提起することができるということ。
         今回の審査請求では、建設予定地の周辺で生活する住民生活に直接的な
         影響を受ける範囲として委任状署名範囲が制限されました。